ホーム > 金融機関ご担当者様向けコンテンツ > 競売物件を融資を受けて購入する場合の登記手続について
制度の概要
前提問題
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競売物件の場合、その買受人様が裁判所に対して代金を納付すると、裁判所は、
@差押登記の抹消、
A抵当権等の担保物権の抹消、
B買受人への所有権移転
を同時に法務局あてに嘱託します。 - 2
上記@は、法務局の申請窓口に申請書をもっていく「申請」ではなく、裁判所から法務局へ登記を依頼する「嘱託」であるため、従来の法律下では(民事執行法82条2項が制定されるまでは)、買受人様が金融機関から融資を受けてその資金で代金を納付しようとしても、登記実務上、
@差押抹消登記
A抵当権等抹消登記
B所有権移転登記 と
C(根)抵当権設定登記が連件で申請できないことから(@ABは嘱託による登記、Cは通常どおり申請による登記だから)、事実上、競売物件を融資を受けて購入することはできないとされていました)。
民事執行法82条2項を利用すると…
- 3 そこで、新設されたのが、民事執行法82条2項です。これは、買受人様の事前の申し出があれば、通常、嘱託にて登記を行う@ABについて、その嘱託書をC(根)抵当権設定登記を申請する司法書士に渡してくれる(=@ABCを連件にできる)という制度で、この制度を利用すれば、買受人も、金融機関等から融資を受けて競売物件を購入することができます。
手続きの流れ
代金納付の数日前(例:名古屋は3営業日前、東京は5営業日前、日数は管轄裁判所に事前に確認することをお勧めします)
「申出書兼指定書」(民事執行法82条2項の手続きを利用する申し出をし、かつ同時に、「その手続きにこの司法書士を指定します」、という書面)を裁判所に提出します(実務上、担当司法書士が持参するケースが多いです)。その他の添付書類は下記「必要書類リスト」をご参照ください。
代金納付の日
ご融資実行
@差押登記 A抵当権抹消登記 B買受人様への所有権移転登記 Cご融資にかかる(根)抵当権設定登記
※連件で申請されます。
必要書類リスト
1★ | 「民事執行法82条2項の規定による申出書 兼 指定書」 | 書式ダウンロード(word文書) 頭取様印が必要です。 |
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2 | 当該物件の不動産登記事項証明書(いわゆる不動産謄本) | 発行後1週間以内程度のものを提出します。 |
3★ | 買受人様の住所証明書(住民票等) | 発行後3ヶ月以内 |
4(★) | (上記1の「申出書兼指定書」に押された買受人様の印鑑が、入札書に押した印鑑と異なる場合のみ)買受人様の印鑑証明書 | |
5 | (根)抵当権設定契約書の写し | |
6 | 金融機関様の資格証明書(会社番号の記載により添付省略可) | |
7 | 固定資産評価証明書 | 買受人様のご負担となる登録免許税計算のため、担当司法書士から裁判所に事前に裁判所宛にFAXする等の段取りをいたします。 |
※上記のうち、2、7については、司法書士事務所または不動産業者が手配する場合が多いですが、事前に担当司法書士、業者にご確認下さい。さしあたり、★を中心に書類のご手配をお願いします。
※2「(根)抵当権設定契約書(写し)」の日付について申出書兼指定書を提出する日を基準にすると、抵当権設定契約日は、未来の日付のはずですが、「申出書兼指定書」を提出する際に添付する「(根)抵当権設定契約書(写し)」の、日付は便宜、未来の日付でも、また日付のみ空欄でも受け付けてもらえます(名古屋地方裁判所不動産競売係に確認したところ、ご融資の実行日が確定しているなら、空欄よりは未来の日付(=実行予定日)を記載したもののほうが好ましいとの回答でした)。